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  • 「本」という、縦の贈与の連鎖

  • 2024/05/24

最近の私が意識していること・・・。

少し前のことなのですが、テレビ番組の中で、作家であり元外交官である佐藤優(さとうまさる)さんが、インタビューに答えている中で「縦の贈与の連鎖」という言葉を使われていました。
すごく印象的に残り、とっても良い言葉だなぁと思ったのです。

ここ数年間の私は、毎日子育てと仕事に追われていて、映画を観たり、本を読んだりという自分だけの楽しみの時間が多くはありません。
30代40代の多くの子育て中の女性がそうだと思うのです。自分でそういう時間を作ろう!と努力しない限り、なかなか日々のことに追われてプラスアルファな時間は持てないのです。

50代60代の子育てを終えられた方は「そうだよね、そういう時間だったよね~」とか、「そうそう、それが子育て中はどうしたって当たり前よ!」と話してくれたりします。

そんな中、子育てをする中で「母」としての成長だけでなく、「私自身」としての自分の感性や、自分自身の学びを深めたいと思っている30代40代女性がすごく増えていると感じます。
洋裁教室で生徒さん達と話をしたり、オーダーのお客様と話をしていると、その流れの変化をとても感じるのです。私もその中の一人で、自分自身のスキルを常に高めたいと思っています。

 

70歳の紳士から毎年数冊の本をもらいます。
「あ、これ読んでみたら、どうぞ!」と言って、時折「本」をくれるのです。


↑実際に受け取った本達

読み終わったものや、誤って2冊買ってしまっていたから・・・と言いながら、色んな本を渡してくれます。
その本達のジャンルが多岐に渡るのです。どうやったって、今の私の環境では選びようのないジャンルの本。受け取るたびに「今回はこっちの本ですか」「えー、今回はこんなジャンルの本ですか!」と、その方と本との付き合いの幅にも驚かされます。

例えて言うなら「課題図書」を渡されるイメージ。すんなり読めるものもあれば、ちょっと苦手な文章もあってなかなか読み進められないジャンルもあるんです。
最初は「読書なんてしてる暇ないよ!」と思ったこともあります。でもある時「もう少し視野をひろげたほうがいいよ、誰もが自分を客観視することは難しいんだから、日々練習しておかないと・・・」と言ってくれたのです。また別のある時は「映画を観ることは、客観視を学ぶのにとても有効だよ」と話し、普段自分が選ばないものに触れる経験や、日々の視野を広げる練習は改めて大切だと知ったのでした。

「縦の贈与の連鎖」は、すごく素敵です。

私の場合、この紳士から「本の贈与」を受け取っています。
ご本人には「いつも、ありがとうございます」とお礼を言いながら、自分の殻を破るジャンルの読書に励み、得た知識や情報を、日々関わる方々に還元できます。
受け渡してくれた方に直接返さずに、今横の繋がりのある方や、次の世代の方々に広めていけばいい、こども達に広めていけばいい。
それが社会全体にとって、とても素敵な循環になると思うのです。

贈与と聞くと、親子関係に限定されるようなイメージがあるけれど、「縦の贈与の連鎖」は、お友達同士であってもいいし、世代を超えてもいい。少し勇気をもって素敵なことを広めていこうよ、という印象が強く感じられました。
そうやって物事を深く考え、いろんな視点を捉えられたら、社会はもっと豊かになりそうです。

子育て中でまだ使えそうなものを、次の子育て中の方に譲ったり・・・
家庭で不要になった価値の在る物を、次の方に渡したり・・・
この本でも読んでみたら?と、本を友人に渡したり・・・
作ったお料理をご近所の方に配ったり・・・
何かで悩んでいる方に、こんな情報があったよと伝えてみたり・・・

70歳の紳士から本を受け取るたびに「私は誰に何を渡せるだろうか」と考えます。
もしかしたら「ちょっとしたおせっかい」を積極的にしても良い時期が来たのかもしれません。

日々暮らす中で、ちょっぴり模索しながら時折読書をして、私なりの「縦の贈与の連鎖」を楽しみたいです。

 

想いをカタチに、針しごと。

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